2015年8月30日日曜日

街並みの美しさ〜ヘルシンキに学ぶ〜

田都会の建築家、長崎です。

前回はヴェトナムの伝統的な暮らしの知恵のお話でしたが、
今回は、この夏にヴァカンスで訪ねたフィンランドのお話です。

初めてヘルシンキを訪ねて来ました。
目的はノルディックデザインの精神をよく学ぶ事ですが、
街歩きをしていて気付いたことがあります。
それは、ごくごく普通の街並みであっても、それがとても美しいということ。





どのビルも抑制の効いた品格あるデザインで、
商業施設であっても、看板が過度に街並みを乱すことのないよう、
きちんとデザインがコントロールされています。



街は国内外の人々で活き活きと賑わっていますが、
人・自転車・車・バス・トラムがそれぞれきちんと住み分けされており、
自動車のクラクションはほとんど鳴らず、街全体が静かでとても美しく感じます。

どのような立場の人々であってもストレスなく、安全に1日を過ごすことが出来るよう、
都市計画的にきちんと配慮されている印象がよく伝わってきました。


街は、美しい建物や緑、公園、水辺などで豊かに彩られていて、
水辺であっても、眺望を阻害するような手すりなんてありません。
街として親水性がとても高いのも特徴で、
生活上のリスクは市民ひとりひとりの自己責任において排除する、
という生活教育が行き届いているように感じました。



美しい街並みは一朝一夕に築き上げることが出来るわけではありません。
「公共」=「みんなのまち」に対する、市民ひとりひとりの真摯な理解と実践があり、
なおかつそれが世代を超えて、連綿と受け継がれた結果、徐々に蓄積していくものです。

ひるがえって、現代日本に暮らす、我々ひとりひとりの意識と実践はどうでしょうか?

私個人は、建築家としても、一市民としても、
家づくりは個人資産であると同時に、街並みを形成する社会資産でもある、
という考え方でいます。

ひとつひとつの家づくりを単体の良し悪しで考えるだけではなく、
せめて向こう三軒両隣まで含めた、周辺を巻き込んだ良し悪しで考えてみる。
そんな「みんなのまち」に寄与できるような家づくりが出来たら、
それはとても素敵なことなのではないでしょうか?

そんな「公共」=「みんなのまち」ということを考える、とても有意義な夏休みでした。

同じような思いを共有出来るクライアントの皆さまと是非、
ご一緒させていただくのを楽しみにお待ちしております。

長崎辰哉/アトリエハレトケ
http://haretoke.co.jp